上田市議会だより第73号(令和元年6月定例会/令和元年8月16日発行)より
(議事録)
◆7番(齊藤加代美君) 皆様、おはようございます。通告に伴い令和最初の一般質問に入らせていただきます。
平成は自然災害の時代とも言われ、思ってもみぬ災難が続きました。地域では自治会の枠を超えた災害応援協定等が結ばれ、共助意識が高まっています。先日防災士の方の呼びかけで近くのレッドエリアを地域の皆さんと回り、松枯れ等で荒れている山林、砂防堰堤が土砂で詰まっている現実を直視し、自分たちで何ができるか考えたところでした。そして、昨年の夏は、人類への警告のように地球規模で熱波が襲い、酷暑、また昨年のようなことが起きると今から不安で仕方がありません。
そこで、猛暑対策についてお伺いします。まず、上田地域広域連合消防本部で昨年の実績を調べてみました。熱中症の疑いの緊急搬送状況は、一昨年比が約2倍で122件、全国平均より上田は8%高い状況でした。うち65歳以上の高齢者の率は約半分の64名、そのうち室内、自宅からの搬送は42名と約3分の2以上とわかりました。この結果からも、特に室内での高齢者の熱中症対策が重要だと思われます。
昨年の夏、私の所属する厚生委員会で世田谷区に視察に行った際、区役所で熱中症予防キャンペーンを実施しておりました。ロビーでうちわをいただき大変助かりました。また、暑い日に外出する際、公共施設などで気軽にお休みいただける場所を提供した「せたがや涼風マップ」の配布をしていました。その結果、お休みどころに出かけたことで人との触れ合い、コミュニティーが生まれたと相乗効果につながったと聞いております。このように公共施設が開放される安心感は安全にもつながります。世田谷のようなことを例にし、上田市独自の取り組みを期待することです。
そして、最も重要なことは、ご近所の声がけ、地域のコミュニティーです。ひとり暮らしのご年配の方にはインターネットで幾ら注意喚起しても届かない現実があります。直接の声がけが励みとなります。地域別で違いますが、有線やエリアトーク、そして電話一本でも安心、予防へとつながります。また、ひとり暮らしの高齢者などで希望するお宅には緊急通報装置が設置されていますが、緊急時の対応のほか、熱中症に関することを含め、体調や健康に関する相談や心配事に気軽に利用していたことも有効と思われます。
そこで、伺います。災害とも言われた昨年の猛暑を踏まえ、この夏特に独居高齢者に対して熱中症予防などの安全を確保するための取り組みを検討していますか。
私の第1問といたします。
○議長(小林隆利君) 近藤福祉部長。
〔福祉部長 近藤 聖一君登壇〕
◎福祉部長(近藤聖一君) おはようございます。昨年は全国で記録的な猛暑となりましたが、本年も暑い日、涼しい日の差が極端で、不順な天候が続いています。高齢者の暑さ対策の質問ということでございます。
高齢者は体内の水分が不足しがちであること、暑さやのどの乾きを感じにくくなっていることなどから、体温調節機能が十分に発達していない乳幼児や子供とともに特に熱中症に注意が必要であると考えております。上田市のひとり暮らし高齢者の人数は、民生児童委員から提出いただきました「高齢者世帯・お一人暮らし台帳」によりますと、平成31年4月1日現在で約3,800人となっております。このほかにも家族の方が仕事で昼間は外出する、あるいは個別の事情があって台帳の提出にはご同意いただけない方もいらっしゃいます。そういったことで、気温が上昇する日中はひとりで過ごされている方もおいでになります。
市では市民の皆さんへの熱中症予防対策といたしまして、これまでも「広報うえだ」やホームページへの熱中症予防に関する情報の掲載、上田市メール配信サービスの生活安全情報のメニューとして高温注意情報の配信のほか、各種検診に来られた方への注意喚起、公共施設への啓発チラシの配置などを行ってまいりました。ひとり暮らしの方を含めた高齢者への熱中症予防対策につきましても、民生児童委員の皆様にご協力いただき、地域の高齢者のお宅を訪問し、熱中症予防の啓発チラシの配布や声かけを行っていただくなど、そのほかに高齢者の方が集まる地域サロン、あるいは地域リハビリテーションを開催する代表者の方に参加される皆さんへの啓発チラシの配布などをお願いしてまいりました。
議員からもご指摘のとおり、昨年上田市で熱中症の疑いで救急搬送された高齢者の方がいらっしゃいますが、その7割が屋外ではなく屋内から搬送されていると聞いております。屋外だけではなく、屋内においても小まめな水分補給やエアコンや扇風機の適切な利用など、熱中症に関する情報提供や予防に関する啓発を庁内関係課所とも連携しながら今後も引き続き行ってまいります。
要介護、要支援状態の高齢者の方など特に注意が必要と思われる方につきましては、ケアマネジャーを初め介護保険事業者、地域包括支援センターに対しまして、熱中症に関する情報提供や注意喚起などを行い、状況によっては直接対象者への情報提供や対応の依頼などを行うことにより、熱中症予防に取り組んでいるところでございます。
なお、熱中症に限らず高齢者の急病や事故などの緊急時の対応や安否確認、健康、生活相談に24時間応じることができる緊急通報装置につきましては、ひとり暮らしの高齢者の方、あるいは要介護認定を受けた方を含む高齢者のみの世帯など、希望される方に民生児童委員の皆様を通じてご申請をいただいているところでございます。平成30年度末現在約1,100台が設置されています。このうち約1,000台がひとり暮らしの高齢者の方となっております。緊急通報装置は緊急ボタンや相談ボタンを押すと受信センターにつながり、お話を伺った状況によっては救急車の要請を行ったり、安否確認センサーが設置されている場合には、長時間人の動きがない場合に自動で受信センターに通報される仕組みとなっております。
受信センターからは定期的に様子を伺うお伺い電話を差し上げており、その際通報のボタンを押す練習もしていただいております。平成30年5月から10月までの間に緊急通報装置の緊急ボタンが押され、熱中症の疑いで救急搬送された方が5人、お伺い電話を差し上げた際に熱中症が疑われたため、水分補給やエアコンの使用などの助言を行った方が4人、安否確認センサーが反応し、関係者に連絡を行い、病院受診の結果、入院となった方も1人おいでになりました。
このように緊急通報装置は高齢者の安全を確保するための有効な装置であると考えておりますので、緊急通報装置につきましても市民の皆様への周知に努めてまいります。
以上でございます。
○議長(小林隆利君) 齊藤加代美議員。
〔7番 齊藤 加代美君登壇〕
◆7番(齊藤加代美君) ご答弁いただきありがとうございました。
今おひとり暮らしのご高齢の方が約3,800人のうち、緊急通報装置がその1,000台、約4分の1という設置のことがわかりました。ぜひとも緊急通報装置の啓発をお願いし、設置を進めていただきたいと願います。
続きまして、上田市立産婦人科病院、以後病院と呼ばせていただきます、における周産期医療環境の充実についてお伺いいたします。病院の健全経営と最大の特色である「BFH認定赤ちゃんにやさしい病院」の現状について伺います。私は昨年6月の質問に続いてですが、またその間、その都度多くの議員の質問が繰り返されています。
まず、健全経営の視点から、一般会計から充当している収益的収入、周産期緊急対策補助金、これは主に医師報酬であり、3年間の推移を見ると、平成29年度7,600万円、平成30年度9,200万円、前年比20%増、さらに今年度予算ベース9,700万円、6%増で、3年間で1.27倍となっております。この要因は、本来なら3人の医師が必要な病院であるにもかかわらず、医師の定着が安定せず、2名体制から現在は1人の常勤医師、院長の体制です。その過重な労働を軽減するため、複数の非常勤医師のサポート体制により医師報酬が増額していると理解しています。常勤医師の確保は、県、国との連携強化、医局との枠組みがあり、課題は深く、容易なものではないと理解しています。大変努力されていることは理解しますが、改善が見られません。常勤医師の確保が急務です。
このように医師の出入りはとてもデリケートな産科、婦人科を受診する患者さんには不安につながり、公的病院の信頼性の低下、あわせてそこで働くスタッフのモチベーション向上のしにくさ、院内統制にも大変大きな影響が出るのではないかと大変懸念しております。
そこで、この近年の出産数だけを比較すると、平成27年からは地域の開業医の先生の閉院の影響もあり、増加はしていたものの、平成30年度は前年比498名から407名、91名減り、マイナス18%の実績です。また、信州上田医療センター、以後医療センターと呼ばせていただきます、ハイリスク分娩を担っていただき、周産期医療が確立しています。病院から医療センターへの3年間の紹介数は、平成28年57件、平成29年90件、平成30年97件と増加し、病院での分娩数が減る中、紹介数がふえていることもわかります。この現状の要因分析、今後の方針はスタッフ一丸となり検証することが必要ではないでしょうか。収益増にどうつなげていくか、公営企業会計としての経営の責任です。
昨年の9月の池上議員の一般質問での答弁に、地域周産期母子医療センター、これは医療センターのことですが、分娩数の増加に伴う助産師の確保にも苦慮され、地域周産期医療の安定的な提供を維持するために、市立産婦人科病院などとの役割分担を担う中で、さらに連携を深めていくことが必要であるという回答がありました。今後の課題解決の本筋になっていくのではないでしょうか。
そこで、伺います。1点目、現在の経営状況と今後の経営改善に向けた取り組みはどうか。
そして、2点目、私たちが求める助産師さんの活躍の中で、母乳ケアはとても重要です。その後のスムーズな子育てにつながる大切なことです。母乳外来も稼働し、他院からの受け入れも始めたとお聞きしました。これこそ病院の特色を生かした収益増に向けた事業でもあります。積極的な啓発をし、お母さんたちの不安を取り除き、安心した育児へと導いてほしい。そこで、母乳育児支援を特色としていますが、母乳率などの状況はどうか。
以上2点伺います。
○議長(小林隆利君) 小林健康こども未来部長。
〔健康こども未来部長 小林 一彦君登壇〕
◎健康こども未来部長(小林一彦君) 最初に、産婦人科病院の現在の経営状況と今後の経営改善に向けた取り組みについて申し上げます。
この地域の周産期医療を取り巻く環境でありますが、少子化による分娩取り扱い件数の状況や、産婦人科医師確保の問題、また周産期医療取り扱い施設の減少など厳しい状況が続いているものと受けとめております。平成24年度に市立産婦人科病院として移転新築いたしまして、新たな体制による周産期医療の提供体制を整備し、また平成26年度には信州上田医療センターの分娩取り扱いが再開に至ったことから、医療センターとの連携によるハイリスク分娩など、分娩取り扱いの役割を明確にした上で、地域の周産期医療を担う公立病院として安全で安心な医療の提供に努めてきたところでございます。
経営状況につきましては、地域の周産期取り扱い施設の減少によりまして、平成24年度では429件の分娩取り扱い件数が平成29年度では498件の取り扱いとなり、分娩取り扱い件数の増加によりまして一定の医業収益を確保してまいりましたが、医療スタッフ体制の確保や施設の維持管理経費の状況によりまして、新築移転後の決算では純損失を計上する年度が多い状況となっております。
このような経営状況におきまして、医療法による標準医師数3名を確保するために、常勤医師の代替として確保しております非常勤医師の報酬など、医業収益のみで賄うことができない経費、これらにつきましては、一般会計からの補助金を確保しながら経営を維持している状況にございます。昨年度は年度途中に常勤医師1名が退職となったことから、常勤医師1名と複数の非常勤医師による診療体制となりました。こうした中で、新たな分娩利用者をお断りすることなく医療の提供を行うための対策といたしまして、信州上田医療センターのご協力をいただきながら、リスクのある患者さんを早目にご紹介申し上げることで安全性の確保に努めてまいりましたが、結果といたしまして、平成30年度の分娩取り扱いの実績でありますが、大幅な減少となりました。このため、常勤医師の確保として、全国自治体病院協議会や県の医師確保対策室などへの直接の働きかけや、新たな勤務先を検討しておいでになる医師の情報を頂戴した中で直接的な交渉も進めてまいりましたが、現在常勤医師の確保には至っておらない状況にございます。
このような状況の中で、経営改善に向けた取り組みといたしましては、安定的な医業収益、これらを確保する面からも、常勤医師の確保が先決事項でありまして、関係機関の働きかけやつながりのある医師の皆さんへの相談などによりまして確保に引き続き努力してまいりたいと考えております。
あわせまして、病院の健全化を図るために経費の面では常勤医師の確保による非常勤医師の経費削減や、医療機器のライフサイクルコストの平準化に取り組むこと、また収益の面では、当院の利用者をふやすために、多様化する患者様のニーズに合った診療の充実に対する取り組み、これらを進めることが必要となります。診療の充実に対する取り組みといたしましては、妊娠初期から出産後の母乳相談及び産後鬱に対応する取り組みなど、一元化した医療サービスの提供を行えるよう医療知識や技術の向上に努め、「赤ちゃんとお母さんにやさしい病院」として職員が一丸となり、BFH認定病院という特徴を生かしながら、病院独自の創意工夫に取り組んでまいりたいと考えております。
市立産婦人科病院を利用してよかったと思っていただけるような医療提供、そしてそのことが利用者の増につながる、結果といたしまして医業収益の増加につながるのではないかというふうに考えております。引き続き地域で安心してお産ができる体制を維持するためにも、医師確保及び看護スタッフ等の確保に努めまして、信州上田医療センター及び関係機関からのご協力をいただきながら、安全で安心な地域医療体制の維持に努め、魅力ある病院づくりを進めてまいりたいというふうに考えております。
次に、母乳育児支援を特徴としている当院、母乳育児などの状況はどうかということでございます。WHO世界保健機関とユニセフが定めます「母乳育児を成功させるための10か条」、これに基づき母乳育児推進に取り組む病院である「赤ちゃんにやさしい病院」として認定を受けている周産期取り扱い施設は、直近のデータでございますが、全国で約2,200施設ございまして、このうち「赤ちゃんにやさしい病院」として認定を受けている病院は68施設でございます。なお、長野県内には市立産婦人科病院を含めまして2つの施設が認定を受けておりまして、母乳育児推進に取り組んでおります。BFHの認定後は、職員、病院スタッフが一丸となりまして母乳育児推進に取り組んでまいりましたが、出産後の母児の状態やスタッフ確保の問題等から一定の母乳率を維持することが困難な時期もございまして、平成25年度には認定が保留となる状況となりました。
具体的には、母乳率につきましては、BFHの認定を受けるための基準といたしまして、退院時の母乳率、これが85%から90%台を維持することとされておりますが、当院は平成25年度に認定保留となった際の退院時母乳率は72%という状況でございました。このため、院内に母乳育児を推進するための院内組織を設置いたしまして、その取り組みを強化してまいりました。具体的には、日々の取り組みといたしまして、朝礼で全スタッフによる10か条の唱和を実施し、院内スタッフによる定期的な母乳育児推進の研究や医師による実務研修の実施、及び職員相互の学習会を開催いたしまして、スタッフの知識、そして技術の向上に取り組むとともに、また出産後のお母さんの状態に合わせた支援を行うため、医師及び看護スタッフによる個別のカンファレンスを日々実施いたしまして、よりきめ細かな母乳育児の指導に取り組んでまいりました。こうした取り組みから、当院は平成25年度より保留となっておりましたBFH認定施設の取り扱いが平成30年度で認定保留を解除することができた状況となりました。
一方、全ての母子の皆様が母乳育児を希望されているという状況にない現実もございます。このため、お母さん方のそれぞれのニーズを的確を把握した上で、指導的に母乳育児を進めるのではなく、母乳育児のメリットを伝え、理解を深める手法により支援に取り組んでおります。身体的な問題や母乳育児を望まれない方には、母乳に対する負担感を持たない子育てが始められるよう、個々の状況に適した支援対応を行っております。
今後も産婦人科病院の大きな特徴でございますBFH認定を維持し、病院の基本方針であります「赤ちゃんとお母さんにやさしい病院」として、魅力ある病院づくり、これに向けましてスタッフ一丸で取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(小林隆利君) 齊藤加代美議員。
〔7番 齊藤 加代美君登壇〕
◆7番(齊藤加代美君) ご答弁いただきました。ありがとうございました。
2,200施設のうち68施設と、「赤ちゃんにやさしい病院」は大変特徴的な上田でも貴重な施設です。先ほどご答弁でもいただきました母乳率が72%に低下ということもありますので、ぜひとも母乳ケア等にも力を入れていただき、ぜひお母さんに寄り添い、そして患者様とのコミュニケーションを丁寧に、ぜひとも経営改善に取り組んでいただきたいと願います。
次の質問に移ります。1つの参考事例として、年間100名以上のお産を担う助産所とうみでは、先月10周年を迎え、「ありがとう助産所とうみ」のイベントをお母さん方が主催し、活発な、自発的なサークルも立ち上がり、多くの親子のよりどころになっています。病院では昨年クリスマスコンサート、6月3日は赤ちゃん同窓会があり、私も参加いたしました。特に同窓会の参加人数は少なかったものの、頼りになる医療スタッフからの温かい励まし、そしてお母さんたちの交流もあり、子育ての活力になると感じました。しかし、感染が怖いため本当に限られた期間しか開催できないとスタッフの悩みもあり、だったら病院から場所を変えたらどうかとも提案いたします。
そこで、お伺いします。平成30年度6月定例会の一般質問で、市内の母乳育児グループは活動休止状態であるとの答弁がありましたが、現在の状況はどうか、またグループへの活動支援についてはどのように考えているか、お伺いします。
続きまして、病院新改革プランの点検、評価の報告を受けての今後の対応について続けて質問させていただきます。地域医療構想では周産期医療について明確な方向性は示されていません。ガイドラインの目的に沿う医療を見据えた地域周産期医療環境を、つまり市民の命の安全確保のために周産期医療体制をどう推し進めるか、残り1年半の中で目標達成に至るまでの逆算した方策を示すべきときであります。ここまで整ってきた助産の体制を後戻りさせないためにも、地域の産婦人科機関、医療センターとの今後の連携強化を視野に入れて、運営形態の検討は急務だと感じています。上小地域の中核を担う上田市の姿勢も問われているときではないでしょうか。
そこで、伺います。2020年度末までの計画期間の中で、病院の健全経営と医師の確保、周産期医療の充実を図るための考え方と見通しはどうか、2点お伺いいたします。
○議長(小林隆利君) 小林健康こども未来部長。
〔健康こども未来部長 小林 一彦君登壇〕
◎健康こども未来部長(小林一彦君) 最初に、市内の母乳育児グループの活動支援についてご答弁申し上げます。市内に母乳育児グループは1グループございますが、現在も休止の状況にございます。市民の皆様が主体的に母乳育児サークルを組織され、産婦人科病院をご利用された方々が主体となり構成された団体が今の母乳育児グループでありますけれども、これらの団体の皆様は病院のさまざまな活動に対するサポートやイベントの開催、あるいは分娩後のお母さん方の子育てに関するさまざまな悩みや相談、情報の共有といった受け皿的な存在意義を持つグループであると考えております。このため、育児グループの活動の再開や活性化を進めるために、病院で開催いたしますイベントの情報提供や積極的なその参加を促すことなどが活動の再開や新たなグループづくりにもつながり、活動の支援にもつながっていくものと考えております。
この取り組みの一つといたしまして、産婦人科病院で出産された方々を対象とした赤ちゃん同窓会を昨年度は3回開催し、母児の交流を図ってまいりましたが、季節によりましては院内の感染防止対策により開催ができない場合もございまして、少数の参加状況となった回もございます。現時点では育児サークルの発展につながる活動に直接的にまだ至っていないと、こんなふうに受けとめをいたしております。こうした中で、今年度は例年開催しております赤ちゃん同窓会以外に、大勢の皆様が参加しやすく、母児の交流の機会となるミニコンサート等のイベントを開催しておりまして、育児グループへの情報提供を実施しながら、活動の活性化にさらに取り組んでまいりたいと考えてございます。
ご質問にもございましたとおり、定期的な開催による参加しやすい環境づくりができるよう、開催時期や実施場所につきましては、皆様方のご意見、お声をお聞きしながら今後検討してまいりたいと考えております。
次に、2020年度末までの計画期間となります新病院改革プランでの病院の健全経営と医師の確保、周産期医療の充実を図るための考え、その見通しについてでありますが、現在地域内の周産期医療取り扱い施設でありますが、信州上田医療センター、助産所とうみ、民間1施設、そして当院の4施設となっております。こうした中で当院といたしましては、平成24年度及び29年度に経営健全化に向けて分娩料金の改定を行いまして、医業収益の確保を図ったところでもございます。また、医師及び看護スタッフの確保に努めるとともに、信州上田医療センターの産科、小児科、検査科との連携を図りまして、持続可能な経営及び地域の周産期医療の維持にも努めてきたところでございます。平成28年度に策定いたしました産婦人科病院新改革プランにおきましては、4つの基本目標を掲げ、さらに4つの柱を基本として、2020年度、令和2年度までの収支黒字化を目指すものとしており、この計画期間中は年度ごとの運営及び決算状況につきまして、目標値等に対する点検、評価を実施した上で、公表いたしております。
現状では常勤医師の確保が大変厳しい状況にあり、市立産婦人科病院としては、現行の体制の中で利用者の皆さんにご不便をおかけすることなく安全で安心な医療の提供を行うことを最優先に取り組んでおりますことから、医療機能のさらなる充実に対する取り組みにつきましては、いまだ具体的な対応としての部分に立っていない部分もございます。議員のご質問にもございましたとおり、新改革プランの計画期間は、先ほど申し上げました令和2年度末までとなりますことから、現状の改革、改善を図る中、目標達成の取り組みを進めるためには、引き続き最優先事項として取り組んでおります常勤医師の確保に努力を重ねてまいりたいと考えております。
また、BFH認定病院でありますことから、特色のある医療を提供している病院として、母乳育児の推進や母乳相談外来及び産後ケアの充実に取り組むことで、先ほど申し上げました利用者から選ばれる病院づくりを進めてまいりたいというふうに考えております。
いずれにいたしましても、市といたしましては、この地域のお産が正常分娩からリスクを伴う分娩に至るまで、おおむねこの地域内で対応できる、そのための安定的な周産期医療体制の構築が必要であると考えておりまして、引き続き産婦人科病院の経営の安定化に取り組みながら、新改革プランに掲げる病院の経営形態の見直しなどにつきましては、今後の出産数、分娩数の状況や医師、医療スタッフの確保状況、また今後の地域の周産期医療体制などの状況を考慮しながら対応してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○議長(小林隆利君) 齊藤加代美議員。
〔7番 齊藤 加代美君登壇〕
◆7番(齊藤加代美君) ご答弁いただきました。市民の命の安全確保のために地域周産期医療の環境の充実、体制をどう推し進めるか、ぜひ急務に検討お願いいたします。そして、あわせて特色を生かした産婦人科病院で産んでよかったというファンをますますふやしてほしい、そう願うばかりです。
次の質問です。東京オリンピック・パラリンピックに向けた誘客とテレワーク誘致についてお伺いいたします。2020年までにと合い言葉になっているほど大きなチャンスがやってくるまで400日を切りました。平成30年3月に2020年に向けてのインバウンド対策についての質問があり、信州上田観光協会を中心に、上田らしさを生かした観光地の魅力を独自のメニューとして開発し、積極的に売り出すとの回答がありました。あれから1年、パンフレットの多言語、事業者はワイファイインフラ、キャッシュレス化の整備など、負担荷重は大きくなり、だからこそ官民一体となりこのチャンスを生かし、上田の魅力を発信、もうかる観光、お金を使いたくなる魅力ある滞在型プログラムを企画する、最善の努力をしていただきたいと願います。今こそ信州上田観光協会が束ね役となり、リーダーシップをとるときでございます。開催期間中、首都圏の宿泊先は飽和状態と予測される中、上田の利便性を生かした宿泊先等の受け入れ態勢と移動手段の充実整備は急務です。また、上田に来てもらうための理由をつくる、そのコンテンツとして1998年の長野冬季オリンピックの閉会式では、別所温泉の岳の幟、丸子三龍地蔵会、龍神お練り、太鼓など出演いたしました。この伝統芸能の特徴を生かした機運の醸成は可能ではないでしょうか。
そこで、伺います。上田らしさを打ち出した誘客対策として重点的に取り組んでいる施策は何か。
続けて、テレワーク誘致についてお伺いいたします。オリンピック・パラリンピック、都内の交通混雑の緩和への総力目標は交通量2割から3割の抑制を挙げ、開催期間中のテレワークの推進を全国で呼びかけております。軽井沢では昨年いち早く軽井沢リゾートテレワーク協会が立ち上がりました。上田でもぜひこのチャンスを逃がさず、テレワーク推進に上田の特徴を組み合わせ発信し、推進を期待しております。
上田の特徴といったら温泉、この温泉を生かした温泉リゾートテレワークの展開にも期待いたします。軽井沢の仲間からも温泉は強みだと背中を押されました。最近は働き方改革の中、次々と既成概念を打ち破った驚く新しい仕事のスタイルが登場してきています。このごろは大企業のゆこゆこホールディングスが大分温泉地でテレワーク制度を導入いたしました。昨年のコワーキングスペースつきの温泉施設、松代のコトリの湯の登場には意外性が高く、大変私も驚きました。現在米国での増加中の仕事をしながら、場所はリゾートなどに行き、バケーションをとりながら働くといったワーケーション、この普及に長野県と和歌山県はワーケーション自治体協議会の設立に向けて動き出した報道も耳にいたしました。このようなアイデアを参考にして、今ある公共施設の利活用として、上田リサーチパーク技術研修センター、マルチメディア情報センターの活用、公共日帰り温泉、宿泊施設の積極的な活用などを期待いたします。
そこで、伺います。国などでは東京オリンピック・パラリンピックの開催期間中のテレワークを推進しており、県内の自治体ではワークスペースの提供など協力する動きがありますが、上田市では取り組みを検討しているか、以上2点伺い、最後の質問といたします。
○議長(小林隆利君) 大矢商工観光部長。
〔商工観光部長 大矢 義博君登壇〕
◎商工観光部長(大矢義博君) 東京オリンピック・パラリンピックに向けた誘客対策についてご質問いただきました。
市といたしましても、本年のラグビーワールドカップとあわせ2020年の東京オリンピック・パラリンピックを外国人の誘客を進める絶好の機会と捉えておりまして、一般社団法人信州上田観光協会を中心に、海外プロモーション事業を初め商談会、メディア関係者及び旅行事業者招聘事業、訪日外国人向けフリーペーパーへの情報掲載等積極的な取り組みを進めているところでございます。こうした取り組みの結果、当市への外国人観光客数につきましては徐々に増加してきていると捉えております。
しかしながら、軽井沢町、松本市、長野市など県内のインバウンド先進自治体と比較しますと、当市への入り込みは依然少ない状況でございます。こうした中、昨今の外国人観光客の旅行形態を見ますと、比較的長期の滞在で、行動範囲が拡大している傾向にありますことから、これらの先進自治体との広域的な回遊を見据えた観光ルートを造成し、当市へ呼び込む仕掛けが必要であると考えております。このため、軽井沢町から長野市までのしなの鉄道を軸にした周遊ルート、また上田松本定期観光バスを活用した松本城や上高地からのルート造成など、それぞれの自治体と連携した取り組みに力を入れております。また、昨年度は台湾のメディア関係者や旅行事業者を招いて市内の観光資源を取材するファムトリップ事業を実施いたしまして、上田城跡公園、柳町、別所温泉、鹿教湯温泉、美ヶ原高原等の観光地を案内いたしまして、さらに菅平高原のスノーキャット乗車体験やスノードライブ体験など、自然を楽しんでいただくメニューを紹介いたしました。
このように、これまでは高原、温泉地、寺社仏閣、食文化など当市の代表的な観光資源を中心にPRを行ってまいりましたが、今後一層の外国人誘客に向けまして、地域の伝統文化やありのままの自然、こういったものを楽しむ体験型のコト消費や、アニメや忍者など人気のあるコンテンツをインバウンド向けの新たな観光資源としてブラッシュアップすることが求められていると考えております。昨年のシンガポールで開催された「アニメ・フェスティバル・アジア」では「サマーウォーズの里・上田」の魅力を発信してまいりました。また、本年9月には当市で国際忍者学会が開催されることが決定しており、中国を初め海外からの参加者が当市を訪れるとお聞きしております。学会では市民団体の皆様のご協力により忍者衣装体験や手裏剣打ち体験等を計画しており、こうした民間との協働によるおもてなしを当市ならではのコンテンツとしてアピールしてまいりたいと考えております。
さらには、太郎山登山競走に代表されるスカイランニングに注目が集まっております。大会には海外の参加者を含め市内外から多くの方々が参加しております。市街地から短時間で里山を楽しめる当市の新しい体験型のスポーツツーリズムとして今後も積極的に発信し、こうしたすばらしい資源を活用するインバウンドを推進してまいります。
続きまして、テレワーク誘致についてご答弁申し上げます。国においては2020年の東京オリンピックにおける混雑回避の切り札として、オリンピック開会式が行われる7月24日を「テレワーク・デイ」と位置づけ、企業等による全国一斉のテレワーク実施を呼びかける取り組みを行っております。市におきましては、「テレワーク・デイズ2019」に向け、ワークスペースを提供する応援団体としての登録を検討しておりまして、ことしの参加団体や2020年の東京オリンピック本番にテレワークを予定する企業に対し、市内の民間シェアオフィスや技術研修センター等の公共施設の利用をPRしてまいりたいと考えております。
一方、長野県におきましては、首都圏のIT企業をターゲットとして、移住やテレワークを体験する「おためしナガノ」の事業を実施しております。市はこの事業に参加いたしまして、毎年1名から2名の方に市内の民間シェアオフィスを利用いただいております。
こうした状況を踏まえ、市におきましては、地方における子育てや介護における離職の回避、企業のワークライフバランスの取り組みや多様な働き方を推進するため、テレワークの形態の一つであるサテライトオフィス誘致に取り組むこととし、今議会にも予算を計上させていただいておりますが、サテライトオフィスの開設経費に対する助成制度を創設することといたしました。
また、県では今年度旅先などで休暇と仕事を両立させる働き方であるワーケーションの普及を目指すワーケーション自治体協議会を発足させる動きを進めております。このワーケーションにより、地域への訪問、滞在がふえ、交流の活性化が期待されますので、市といたしましても積極的に参画してまいりたいと考えております。
以上でございます。