平成31年3月一般質問

第71号(平成30年12月定例会/平成31年2月1日発行)より

[主題]市政について

○議長(小林隆利君) 次に、質問第6号、市政について、齊藤加代美議員の質問を許します。齊藤加代美議員。
〔7番 齊藤 加代美君登

◆7番(齊藤加代美君) 本日最後の一般質問となります。長時間となりますが、45分間よろしくおつき合いください。
それでは、前回の12月の一般質問に続きごみの分別の実態と解決策について、通告に伴い質問をさせていただきます。いまだに続くごみのルール違反、特にプラマークつきプラスチックごみ、以後プラごみと呼ばせていただきます。ひどい汚れやペットボトルの混入、二重袋などが引き続き多い状態、3つの中間業者に伺い、大変な手作業の分別を見させていただくと、若干2カ月前よりは二重袋が改善されたようにも感じましたが、全体的には改善は余り進んでいなく、ひどくなっていることもあると現場の声もお聞きしています。もちろん地区によって明らかにごみの状態が違いました。現在年1回の抜き取り検査判定が最も低いDランクであり、品質改善がされないとリサイクルが困難となり、家庭からプラごみの回収ができなくなる、そんな事態が続いています。至急改善が求められている、そんなさなか、燃やせないごみにカセットボンベの缶の混入と見られ、パッカー車の車両火災が昨年暮れから2件相次ぎました。要因は、収集時の圧縮をかける際、金属の摩擦が火花となり、ボンベやスプレーの缶のガスなどに引火したのではないかと、消防車の出動は過去10年で3件のうち2件集中的であったと消防本部の回答でした。
しかし、実際は消防出動がないだけで、車両火災はあるとのことで、伺った丸子の中間業者は燃えないごみの収集はパッカー車の回収は大変危険と、荷積みで囲いのあるトラックを購入し、圧縮せず直荷で収集をしていました。燃やせないごみの実態を見ると、ライター、カセットボンベ、スプレー缶など産業廃棄物のプロパンガスボンベなど驚くものばかり、これは命がけのごみ収集、これらは排出者私たちの市民のモラルの問題でもあり、ごみの分別の徹底は上田市の総力を今試されているときでもあります。
そこで、伺います。この3カ月間、12月定例会以降に強化して実施した対策は何か、1月に実施した実地調査の結果から判明した解決すべき課題は何か、2点伺います。

○議長(小林隆利君) 山口生活環境部長。
〔生活環境部長 山口 泰芳君登壇〕

◎生活環境部長(山口泰芳君) ごみの分別推進対策についてご質問をいただきました。
初めに、ごみ分別の実態についてであります。昨年5月に実施された緑字の指定袋のプラマークつきプラスチックごみの内容物検査において、かみそりなどのプラマークがついていないプラスチック製品や、汚れたままのプラごみの混入が多くあり、容器包装リサイクル協会から再商品化に適さないとの指摘を受けたことから、市では広報などで数回にわたり市民の皆さんに適正分別に向けた啓発を行ってまいりました。ことし1月に実施された品質再検査においては、プラごみの選別などを行う中間処理業者の自社努力により不適物を排除する作業員を増員したため再商品化に適さないという指摘はなかったものの、ごみ収集委託業者や中間処理業者からはまだ不適物が多く含まれていると報告がされております。
また、昨年12月とことし1月には不燃ごみの収集作業をしていたごみ収集のパッカー車から出火する事故が連続して発生しました。この2件とも燃やせないごみの中にスプレー缶が混入していたことが出火原因となった可能性が高いとされております。使用済みのスプレー缶やカセットボンベは危険ごみとして自治会資源物回収所またはウイークエンドリサイクルの際に出していただくようお願いしております。
ご質問の昨年12月定例会以降強化した対策でありますが、市ホームページやごみ分別アプリ「さんあーる」のインフォメーションにおいて分別の適正化について改めてお願いするとともに、「広報うえだ」及び「環境うえだ」ではそれぞれ先月2月16日号において特集記事を組み、プラマークつきのプラスチックごみの出し方、スプレー缶の出し方について分別の徹底をお願いしたところでございます。また、ことし1月から2月にかけて市内4地域において開催された自治会の衛生部長の皆さんなどを対象とした会議においても、各指定袋に正しく分別して出していただくこと、また自治会名及び氏名を記入していただくことなどについて周知させていただいたところでございます。
次に、ごみ集積所の実地調査についてでありますが、ごみの排出状況の変化を確認するために、重点的取り組みとしているプラマークつきプラスチックごみ及び燃やせないごみについて昨年5月から6月に調査した中心市街地地区で再度昨年12月からことしの1月にかけて収集前の時間に集積所の実態調査を実施しました。その結果、プラマークつきプラスチックごみの分別については適正化が進んでいると判断できる集積所もありましたが、依然としてペットボトルの混入や二重袋での排出があり、また燃やせないごみの中に資源物の缶や瓶、危険ごみのスプレー缶や電池が混入している事例が見受けられました。また、集積所に出されるごみのうち分別されていないなどのルール違反ごみに対しては、収集委託業者に違反ステッカーの張りつけ及び違反報告書の提出をお願いしておりますが、報告件数などから分別の適正化が進んだとは言えない状況であります。
これらの結果から、ごみの分別適正化の推進のためには市民一人一人の継続した取り組みが必要であり、これからも啓発活動の継続や自治会の協力をいただきながら、違反ごみ排出者に対する改善依頼及び指導を行ってまいりたいと考えております。

○議長(小林隆利君) 齊藤加代美議員。
〔7番 齊藤 加代美君登壇〕

◆7番(齊藤加代美君) ご答弁いただきました。ターゲットを決めての調査は大変高く評価いたします。3カ月しかないではなく、3カ月もあるという意識で緊急性を持って時間軸で推し進めていただくことを心から強く要望いたします。
それでは、次の質問です。自治会でもこの問題を真摯に受けとめ、活動を強化してくれています。自治会長さんの悩みは違反ごみ、無記名である場合が大変多く、注意に行こうとしても排出者の特定ができないという大きな悩みがあります。あわせて自治会に加入していないと広報も届かず、情報すら届かないという切実な問題、そこで自治会の加入率とごみの分別の関係性の実態を調べてみました。平成29年ごみ処理の実績から地域別1人当たりの1日の容器プラのごみの量が武石地域は32グラム、それに比べて上田地域は4割多い45グラム、自治会加入率は、武石地域は最も高い98.3%、旧上田市は最も低い86.4%、この数値はどうお考えになるでしょうか。資源ごみの量も明らかで、武石地域は上田地域を1とすると1.5倍、武石は113グラム、上田は75グラムと1日の資源ごみの量が明らかとなっております。自治会加入率が高いほどごみの分別が徹底しているとこの数値からうかがわれます。旧上田市内は20人に3人ほど広報等の情報が届かない現実もあり、これらから違反ごみと自治会未加入の関係性があると私は強く推測しています。
また、外国籍市民の方に暮らしの悩みをお聞きすると、1に言語、2にごみの分別であることを知りました。2月末の市長との懇談会でもたくさんのごみ集積所の戸惑いや、きちんと教えてもらえれば外国人もルールを覚えてきちんと出すとコメントが信濃毎日新聞の記事に載っておりました。やはり丁寧な情報の伝達が不足しているのです。
そこで、質問いたします。自治会未加入の方と外国籍市民への周知はどのようにしていますか。
2つ目、都内では自治会に加入していないとごみ集積所が利用できない等の規制がある場合がありますが、上田地域では自治会未加入者がごみを出す際の制限はあるか、この2点質問とさせていただきます。

○議長(小林隆利君) 山口生活環境部長。
〔生活環境部長 山口 泰芳君登壇〕

◎生活環境部長(山口泰芳君) 自治会未加入者や外国籍市民に対する周知方法についてのご質問であります。
自治会未加入者への啓発等の周知については、ホームページやごみ分別アプリ「さんあーる」などの媒体を通じて周知を行うことで広く情報が届くように努めております。しかしながら、インターネットやごみ分別アプリについてはご本人が興味を持たないと該当するページを開いていただけなかったり、アプリをインストールしていただけないことから、より多くの市民の方にアクセスしていただくよう、記事内容、広報手段などを工夫してまいります。
なお、ことし1月24日に上田市、自治会連合会及び不動産関係団体との3者による上田市における自治会への加入促進に関する協定が締結されており、自治会加入率向上に向けたさらなる取り組みが開始されております。今後これら関係者のご協力をいただきながら、ごみの適正排出についても自治会未加入者への周知啓発を図ってまいりたいと考えております。
次に、外国籍市民に対する周知方法についてでありますが、新たに上田市に転入される方に対しては、市民課及び各地域自治センター窓口で「ごみの出し方」及び「ごみの分別帳」をお渡ししております。「ごみの出し方」は、英語、ポルトガル語、中国語など合計8カ国語の外国語版を作成しており、上田市のルールに沿ったごみの分別及び氏名の記入などをお願いしております。今後においては、外国籍市民を多く雇用している企業等に向けてごみの出し方の出前講座をお願いしていく計画であります。
次に、自治会未加入者がごみを出す際の制限はあるかのご質問でありますが、自治会で管理している集積所を利用する場合には、清掃当番など地域でルールを決めていただき、利用者の皆さんが協力して管理できるようにお願いしております。このことから、自治会未加入者が自治会のごみ集積所を利用する条件として、自治会と話し合いを持って集積所の清掃作業への参加など集積所の管理について協力をしていただくことが必要であると説明させていただいております。

○議長(小林隆利君) 齊藤加代美議員。
〔7番 齊藤 加代美君登壇〕

◆7番(齊藤加代美君) ご答弁いただきました。自治会加入が促進することを心から願い、また出前講座等アイデアを凝らし、より一層推進も進めていただきたいと思います。
次の質問です。プラごみ、容器包装リサイクル法に基づいた分別強化が強まると行き場のないごみや迷いごみが多くなり、特に赤袋のごみの増加、質の悪化を心配していましたが、その予測は当たりました。燃やせないこの赤袋は、同じく手仕事で分別し、大変な作業をしてくれています。現状をもっと知りたく、ごみ減量アドバイザー企画運営の「聞いて・〇得・エコ講座」の連続講座にも参加し、エシカル消費も勉強しながら、市民、そして中間業者の皆さんの意見をお聞きしました。決まりばかりに押し込む強化ばかりでなく、高齢者やごみ排出困難者たちに対しても易しく分別できる手法、環境に優しい方法を取り入れることはできないだろうか、皆さん本当に真剣に考えています。
解決策の参考までにお隣の東御市では、地区によっては差がありますが、同じプラマークつきでも2種類の方法の収集をしています。1つ、プラマークがありきれいなものの袋、2つ、プラマークがあり汚れの落ちないものの袋、この汚れのあるものについては、サーマルリサイクル、これは燃焼の際に発生する熱エネルギーを再利用とするリサイクル法です。これらを参考に判断が難しいごみ、例えば汚れの落ちないプラごみなどを入れる袋の導入を考えることはありますか。
以上、質問といたします。

○議長(小林隆利君) 山口生活環境部長。
〔生活環境部長 山口 泰芳君登壇〕

◎生活環境部長(山口泰芳君) 現在のごみの分別方法については、合併後の平成20年4月から統一して実施してまいりました。市民からのごみの分別方法についての問い合わせでは、特にプラマークつきプラスチックごみの分別についてのご質問や、高齢者世帯が増加しており、ごみ出しの段階で迷われているという相談もありますが、ごみの分別について市民の皆様にはおおむね定着してきていると考えております。
ご提案の判断が難しい際に利用できる袋の導入については、収集後のごみを委託業者が手作業などで分別する作業負担が別工程としてふえること、また新たな財政負担の増加の面などから導入の予定はございませんが、これからもごみの分別方法についてわかりやすい情報の提供に努めてまいります。

○議長(小林隆利君) 齊藤加代美議員。
〔7番 齊藤 加代美君登壇〕

◆7番(齊藤加代美君) ご答弁いただきました。通告外の汚れの落ちないプラごみなどを入れる袋、追記した質問とさせていただきましたので再質問等はできませんが、市長施政方針にあった研究委員会では、生ごみリサイクルシステムに加えてこれらの課題もぜひ盛り込んでいただき、生活者視点から、そして各地域からの市民、そして処理業者、行政、その3者で話し合いがなされることを心より祈り、よりよい解決策が早急に生まれることを期待しております。
続いて、ごみの効率的な周知強化について伺います。現状と解決策を呼びかけるに当たり、自治会に入っていない方にも情報を届けるには、そこで有料ごみの動線を考えました。私たちはごみ袋は必ず商店で購入します。排出はごみ集積所です。
そこで、伺います。ごみ有料指定袋を扱う商店に協力をしていただき、商店とごみ集積所の双方、ごみ袋の入りと出、ここにごみの排出が緊急事態になっていることの警告や、ごみ分別アプリ「さんあーる」のQRコードを掲示することで多くの方が情報を入手しやすくなると考えますが、いかがでしょうか、見解を伺います。
あわせて急務を有する事態であります。人海戦術として上田市役所職員の活躍に大変期待をいたします。まずは一人一人ごみの知識を高めていただき、小さな小さな啓発活動からでも構いません。職員数1,213名、嘱託131名、臨時、パート1,250名、計2,594名のプチごみアドバイザーが誕生します。これは大きな力となります。平成8年、ごみ袋の有料化の際、職員のすばらしい協力体制が大きな成果につながったと聞いています。とにかくやれることからこつこつと、また前回の質問でも同様な提案をいたしました。小中学校での上田のごみ、環境問題出前講座を考えられないでしょうか。各家庭での家族の会話やつながり、一人でも多くの市民の方にごみ問題に対する意識を高めるために子供の力をかりるのです。
そこで、あわせて質問です。2つ目、市職員の人海戦術によるごみ啓発推進活動を行ってはいかがでしょうか。
3つ目、小中学校に出向き、上田ごみ出前講座を行う考えはありますか。
以上3つ質問とさせていただきます。

○議長(小林隆利君) 山口生活環境部長。
〔生活環境部長 山口 泰芳君登壇〕

◎生活環境部長(山口泰芳君) 市内のごみ指定袋の取扱店は平成31年2月末で約250店舗であります。議員ご提案のごみ分別の効果的な周知強化については、ごみ指定袋の購入時に啓発内容が届くよう、ごみ指定袋販売店に分別適正化のお願いやごみ分別アプリ「さんあーる」の広報記事等のお知らせを掲示していくことを検討したいと考えております。
また、ごみ集積所における啓発についてですが、平成28年度に可燃ごみ減量化啓発のA4サイズのプレートとポスターを制作し、各自治会に配布しました。ごみ集積所への「さんあーる」のQRコード等の掲示は、利用者等含めて効果的か見きわめる必要があると考えます。今後の取り組みとしましては、違反ごみの多く排出されている集積所を重点的に自治会の協力をいただきながら啓発看板等の設置を検討してまいりたいと考えております。
次に、職員の人海戦術によるごみの啓発活動についてであります。ごみの分別適正化のために職員一人一人がごみの分別に対する知識を習得することで、住んでいる地域の中で地域住民に的確なアドバイスができるようになることは必要であると考えております。平成31年度には職員に対する研修会を予定しており、受講した職員みずからがごみ減量アドバイザーとして地域の中で説明できるようにと考えております。
次に、小中学校に出向いての出前講座の実施についてであります。例年小学校4年生の社会科授業の一環として、上田もしくは丸子クリーンセンターの見学が実施されております。社会科見学後の小学生からは、ごみを減らすことの大切さを学びました、これからはより物を大切にしますという感想もいただいており、ごみの減量、分別を学ぶ有意義な授業であると考えております。見学に参加した児童を通じてその保護者にも分別の大切さなどが伝わることを期待しております。
ご提案の学校へ出向いての出前講座の実施については、学校側から年間計画の中には組み入れづらいということはお聞きしておりますが、小学校4年生に限らず市内小中学校の生徒及び保護者の皆さんに対するお知らせという形での情報提供は取り組める内容として実施を検討しております。
また、市内保育園の保護者参観日などに一般廃棄物処理事業者の皆さんが訪問し、園児に保育園で集めたアルミ缶がどのようにリサイクルされているかをわかりやすく説明し、保護者に対してはプラマークつきプラスチックごみなどの分別方法についての説明を行っている事例もあります。
このように子供のころからの環境教育を継続するとともに、市民一人一人の小さな心がけがごみの分別の適正化やごみの減量につながると考えており、今後もさまざまな手法により啓発に努めてまいります。
以上でございます。

○議長(小林隆利君) 齊藤加代美議員。
〔7番 齊藤 加代美君登壇〕

◆7番(齊藤加代美君) 前向きなご答弁本当にありがとうございました。このプラごみの理解を深めるために少し標語を考えました。「分別は容器包装プラマーク」、このように皆さんでアイデアを出し合いませんか。上田市の総力を試されているときでもあるのです。
それでは、次の質問とさせていただきます。今日まで影響を与え続ける山本鼎思想、神川地域を中心に農民美術運動、そして児童自由画教育運動を提唱し100年を迎える大切な節目の年をことし迎えています。市長の施政方針でも発表がありました。ことしの丸子地域の成人式では、副市長が新成人に向け、鋭い感覚を持った山本鼎は明治の美術教育、当時の模写絵から自分の目で見て子供たちが感じ取ったものを自由に描く児童自由画教育運動を提唱し、この鼎の教育運動思想は全国へと、直感を大切にと鼎を顕彰した信州上田学をイメージするメッセージでもありました。先ほどの市長答弁もおかりすると、シビックプライドとして新成人の心に必ず刻まれたものと思います。
また、鼎は描きやすい画材の研究を重ねております。誰でも幼少のころ宝物である画材、クレパスを考案したことで知られており、サクラクレパスの経営理念にも鼎の自由画運動の思想が今でもうたわれております。子供たちから見たらクレパスを発明してくれた鼎はクレパスの父、クレパスのおっちゃんだと私は考えています。子供たちに鼎を知ってもらえる大切な功績です。子供たちにぜひ伝えてください。子供の心に必ず響き、必ず心が動きます。
第1回児童自由画展覧会を開催した神川小学校では、ことしはその思想をもとに子供たちに画材を持たせ、自分が直接感じたものを自由に描く時間を考えていると先生からお聞きしています。そして、その思想はサントミューゼ子どもアトリエで「子どもは天才講座」へとつながれ、対象は幼児へと幅を広げ、技法が重要ではなく、子供の感じたものを表現したいようにする、その幼少時期でしかできない貴重な体験、親子活動を続けています。あわせて第6回山本鼎版画大賞展、大賞をとられた注目の若手作家、銅版画家村上早展が開催されております。さまざまな顕彰事業が続けられていることを高く評価、期待いたします。
そして、もう一つ鼎の功績、農民が農閑期に工芸品をつくり収入を得て、美術的、文化的な素養を生活に取り入れ、農民の生活をみずからの手で豊かにした農民美術運動、画家であり、創作版画の創始者と言われる山本鼎は、児童自由画、農民美術などの美術教育運動を手がけ、いわば実業家であり、それらの活動は上田自由大学発祥へとも深くつながっています。
そこで、質問をいたします。2019年は山本鼎、農民美術、児童自由画教育運動100年を迎えますが、どのような事業や施策を考えているか、お伺いいたします。

○議長(小林隆利君) 柳原政策企画部長。
〔政策企画部長 柳原 渉君登壇〕

◎政策企画部長(柳原渉君) 100周年の事業内容というご質問でございます。
上田市立美術館はことし開館から5年を迎えました。開館当初からこれまで52年の長きにわたり山本鼎の業績を伝えた山本鼎記念館の理念を引き継ぎ、「育成」を基本理念にさまざまな事業展開を図っているところでございます。美術館開館時に開催した「山本鼎のすべて」を初め「山本鼎版画大賞展」、「山本鼎青春の絵はがき」、「山本鼎農民美術のデザイン」など折に触れて鼎の業績を紹介するとともに、学芸員による公民館や自治会での講演会、各種雑誌への寄稿などを通して鼎の業績につきまして伝えてまいったところでございます。また、児童自由画教育の精神のもと、子どもアトリエを活用した教育普及にも取り組み、未就学児童を対象とした「子どもは天才講座」、小中学生対象の「なるほど美楽」等を開催し、充実させてまいりました。
こうした中、本年農民美術と児童自由画教育運動が100周年を迎えます。さらなる事業展開としてより多くの方に鼎を知ってもらい、共感が得られるまたとないチャンスでありますので、100周年を記念しまして、11月末から来年2月まで、「農民美術・児童自由画100年展」の開催を計画しております。この記念展では、農民美術運動が始まってから現在までの歩みを振り返るとともに、これからの農民美術を展望し、一方の児童自由画教育運動につきましては、この運動を推進した山本鼎と同時代の人々の交流の歴史の中から運動の展開をひもといていく展覧会構成を考えております。大正時代から現在までの農民美術、児童自由画関連資料や現役農民美術家の皆さんの作品を展示するほか、全国各地で活躍する研究者を招いたシンポジウム、体験講座、ギャラリートークなどのイベントを計画しております。
記念展の運営に当たりましては、神川地区の皆様を中心とします神川・山本鼎の会、農民美術事業者団体の長野県農民美術連合会、そして上田市の3者から成る実行委員会を設置し、市民協働で行ってまいります。作品や資料の借用、神川小学校等に保管されているかつての児童自由画の分析と研究、県下の農民美術の歴史的な聞き取り調査など、3者の協働による取り組みは大正デモクラシー期の鼎らの取り組みと相通ずるものがあると考えております。
また、美術館だけではなく、教育委員会におきましても公民館活動として新たに4月に開館する神川地区公民館を会場に、信濃国分寺資料館や神川・山本鼎の会の皆様との共催で、山本鼎や当時の若者たちの活動をテーマとした講演会やパネル展を開催するなどの計画を進めております。山本鼎と上田の青年たちがともに夢見た社会の改良という理念が上田から全国の農村社会や学校教育に広がり、今日までその影響を残していることは誇らしくもあります。この意義を市民の皆様と共有しまして、上田地域の文化芸術の振興と郷土を愛する心の醸成に寄与してまいりたいと考えております。
以上でございます。

○議長(小林隆利君) 齊藤加代美議員。
〔7番 齊藤 加代美君登壇〕

◆7番(齊藤加代美君) ご答弁ありがとうございました。ことしは大変期待できる年と確信いたしました。
次の質問です。農民美術は100年を契機に農民美術連合会ではまた新たな視点を取り入れ、こっぱ人形の現代版を県内の道の駅で販路拡大、そして市ブランディング支援事業の助成を受けて柳町のかわいらしいサインボードが設置されるなど、鼎のユニークなビジネス思想を受け継ぎ、次世代へと継承者へつながる事業展開を次々に打ち出しています。伺ったこっぱ人形の会を主宰している徳武さんの工房には、驚くようなアイデアが準備してありました。市民力がますますパワーアップしていると実感しております。
また、農民美術は昭和57年、長野県伝統的工芸品に指定され、本年は経済産業大臣指定の伝統的工芸品、県内では7品目、木曾漆器、飯山仏壇などがありますが、国指定になるための指定基準の100年に達します。あとは従事者の人数が足りないことは課題でありますが、よき古き本物が見直されるこの時代、これは新たなチャンスだと思います。先人たちが農民美術工芸品をつくり、都市部へ販売した運動を振り返り、商工業としての農民美術と捉え、市の協力と、例えば今人気が出ているこっぱ人形に焦点を当て、上田市観光会館、そして東京の銀座NAGANOへの積極的な展示販売の依頼、そしてこっぱ人形の講習会には県外から多く訪れることから、体験型の滞在観光へとつなげ、そしてこれは未来のつくり手、従事者の養成の可能性を秘めているとも考えております。
農民美術運動100年であることを好機と捉え、この農民美術を商工、観光の視点を入れて推進していく考えはあるか、お伺いいたします。

○議長(小林隆利君) 大矢商工観光部長。
〔商工観光部長 大矢 義博君登壇〕

◎商工観光部長(大矢義博君) 農民美術を商工、観光の視点も入れて推進していく考えについて答弁申し上げます。
農民美術は上田市の代表的な伝統工芸として後世へ引き継ぐべき大切な伝統産業の一つであると考えております。こうした地域を象徴する伝統産業の振興に向け、商工観光部といたしましても平成29年度に創設いたしましたブランディング支援事業補助金の有効活用により、農民美術のたくみのわざを生かす店舗用の木製看板を制作していただき、中心市街地の各店舗に取りつけ、町並みを彩る取り組みを展開しております。また、昨年は柳町においてこっぱ人形市が開催され、温かみある作品が好評を得たところでございまして、引き続き商店街を初めとするさまざまな機会を通じて農民美術のすばらしさの発信や販路拡大を支援してまいります。
上田地域産業展におきましてもたくみが実演企画といたしまして、一昨年よりこっぱ人形の彫り体験コーナーを設けておりまして、子供から若い世代に大人気でありました。また、昨年8月には鉄道会社の会員誌に農民美術の歴史や作家、上田市内の店舗などの特集記事が掲載されたところ、市内の農民美術を扱う店舗を訪れる観光客の皆様が増加したとお聞きしておりまして、農民美術が貴重な観光資源であることを改めて認識したところであります。
これからの観光は地域のさまざまな資源を生かす体験型のコト消費、これがキーワードになっております。農民美術は当市でしか触れることができない資源でございますので、新たな旅行商品のメニューとして農民美術の制作体験を盛り込むなど、これからの観光誘客に生かしてまいりたいと考えております。
以上でございます。

○議長(小林隆利君) 齊藤加代美議員。
〔7番 齊藤 加代美君登壇〕

◆7番(齊藤加代美君) 前向きなご答弁ありがとうございました。今何がブームになるかわかりません。ぜひこのチャンスを逃さずチャレンジしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、最後の質問です。上田再構築プランに掲げる信州上田学、先ほど代表質問でも答弁を何度かいただきました。私がこの信州上田学に期待することは、子供たちが信州上田学の学びにかかわり、そして一緒に企て、地域を知り、地域愛を育むことにより、例えば上田の産業の特徴、ものづくり産業が蚕種、養蚕の産業、先人の知恵をつなぎ、今、そして未来がある、これを学び、知ることにより、地域の産業の魅力、興味を持ち、夢を抱ける仕事となるドリームワークスのようにと期待しています。
信州上田学のキャッチをおかりすれば、住みたい理由を言えるまちをつくる、志がとても高く感銘いたしました。私も大学生を持つ親です。その心境は大学等で一度離れる子供たちが戻ってこれるふるさとの理由が言えるまちであると思います。このまちにするためには、私たち大人の責任でもあると思いますが、信州上田学にはその期待も重ねられるとお話を伺って感じました。
それでは、この信州上田学の中に山本鼎、農民美術、児童自由画教育運動、上田自由大学の理念を取り入れて行う考えはありますか。
そして、2点目、先人が培った知恵を現在の産業や美術教育につなげた功績について、信州上田学でどのように伝え、実践していくか、最後の質問とさせていただきます。

○議長(小林隆利君) 柳原政策企画部長。
〔政策企画部長 柳原 渉君登壇〕

◎政策企画部長(柳原渉君) 信州上田学との連携というご質問でございます。
信州上田学は、地域に脈々と受け継がれてきました歴史、文化、自然、風土等の資源を学ぶことで郷土愛を育み、地域課題をみずからが解決することで持続可能な地域づくりを行う人材を育む事業でございます。
さて、山本鼎が起こした農民美術運動は、農民美術を産業美術として高めるとともに、当時は国民の大半を占める農民が美術創作に親しみ、ものづくりという意欲を高揚させ、農村経済の救済にもつなげたところであります。また、児童自由画教育運動は、鼎の自分が直接感じたものはとうといという言葉で表現されているように、手本となる絵の模写であった絵画教育を児童の自由な発想と創造力により絵を描くことを提唱し、創造的な美術教育へと高めたところであります。さらに、これらの運動にかかわり学習意欲に燃えた金井正ら地域の青年たちが始めた先駆的な民衆教育運動である自由大学運動につきましても共通する理念は自律的な学びの実践であります。信州上田学の推進に当たりましては、先人から受け継がれましたこうした理念を踏襲しながら、幼保小中高のライフステージに合わせた学びを提供してまいります。
なお、公立大学法人長野大学においては、教養科目として新年度後学期に開講予定の信州上田学では上田自由大学をテーマにして、学びにより地域文化の創造を目指した青年たちを取り上げ、大半を占める県外学生が上田地域を知り、学ぶ契機とする計画でございます。
いずれにいたしましても、長野大学等とも連携して、座学だけではなく、関係する産業の承継者や研究者等による現地での学習やグループワーク等のアクティブラーニング、探求型学習によりまして先人が示したみずから学び、みずから考え、みずから行動する力を地域の一員として発揮できる市民力を醸成してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。

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